道具のデザインのモデル
道具がサポートするユースケースの範囲

昔書いたメモが出てきた。改めて色々なこと考えるモデルとして有用だと感じたので記録しておこう。元々は確かグレープフルーツを買った時に「これを上手く食べたいものだが、どんな道具があるのだろう?」と考えていて、その時に浮かんだことをメモしたのだと思う。
世の中にはグレープフルーツを食べるために結構色々な道具があって、果肉を切り取るグレープフルーツナイフ、ギザギザ付きのグレープフルーツスプーン、仰々しいグレープフルーツカッターなどがある。
すべての道具は似たような利用状況や利用目的が設定されていたが、それぞれで形が違っていることが興味深かった。グレープフルーツを綺麗にカットすることしかできないものもあれば、他のフルーツにも使えそうなものもあった。なのでメモには「道具がサポートするユースケースの範囲」と書かれている。

グレープフルーツを食べるための道具を発想する時に、考え方が異なれば目指す形も変わってくる。
より一層1つのユースケースをべったりとサポートする場合と、そうではなく複数のユースケースに関わる形として維持する場合がある。
最初に素朴なデザインのアイデアをAとする。Bはその1つのユースケース上の前後までカバーしようとする考えだ。対してCは複数のユースケースに共通するコアな部分を探す考え方になる。アイデアを発展させるといっても、この2つのどちらを目指すのかによって出来上がる形が大きく変わってくる。
そのこと自体が興味深かったので頭に浮かんできたイメージを近くにあった紙にメモしたのだ。

メモとして対象化したこの図はことあるごとに参照されるようになった。
ユーザーリサーチによる改善とは何なのか?
たとえばデザインリサーチの1つにユーザーリサーチという活動があるが、この活動によってデザインを変更する場合、一体何が起こっているのか考えることができる。例えば、ユーザーに対する知識が少ない状態で作ったものがA、ユーザーをリサーチしてユースケースを知り前後も含めて作ったのがBというように。また、もしも以下のように別ユースケースをべったりとサポートするのであれば実質Bのタイプになるだろう。

「自分が使う道具を作る」とは何か?
自分が使う道具を作ろうとしてできた形は、素朴なアイデアのA。あえて役割として区別するのであればリサーチャーとユーザーとデザイナーを1人が担っていることになる。

「自分のために作ったものなのに他の人も使う道具だった」とは何か?
では「自分のために作ったものなのに他の人も使う道具だった」というのはどうなるだろうか。自分は意図していなくてもなぜか他者も使っている状態だ。

こうなると自分のユースケースではないのでユーザーリサーチのような視点で捉えることが必要になってくるかもしれない。一体、何に使っているんだろう?と。そしてコアな部分を見出すことができればCになる。コアな部分に注力するというタイプのピボットと言っても良いかもしれない。

一方、自分のユースケースのサポートはせず、他者のユースケースのみをべったりとサポートするようにピボットした場合は、Bになる。

自分が使うものを作る場合の試行錯誤も同じ
ここまでは区別しやすくするために自分と他者を分けたが、自分のために作る場合であっても実際は同じことが起こる。自分1人が使う場合であっても、それしかできないものを作るのか、いろいろできるものを作るのか試行錯誤することになる。

ソフトウェアデザインにおけるユースケースの扱い方でも
ユースケース(もしくはタスク)の扱い方を考える時もこの図は良いかもしれない。例えば、ソフトウェアはコアな部分として位置付け、一方、ヘルプやガイドコンテンツではユースケースの単位で説明するというように分けて考えることができるようになる。

というような感じで色々考える際に使えそうだ。