オブジェクトベースとタスクベース

オブジェクトベースは物をすぐに見ることができて、タスクベースは「何をするか」を言わないと物を見せてくれない。

イラスト:オブジェクトベースとタスクベース。オブジェクトベースは人の前にオブジェクトがあり青い四角い頭の人が「まず見てみて」と言っている。タスクベースの方は人とオブジェクトの間に幕がありその前に四角い頭の人がいて「何するか言ったら見せるよ」と立ち塞がっている。

インタラクションが人間とコンピュータの共同作業であると捉えるならば、オブジェクトベースにするということは、クラウドベースのドキュメントのように共同作業をする両者はできるだけ同じものを見て作業をする、空間を共有するようなもの。

ユーザーの思考と対応するオブジェクトベースのアプリケーションの画面例は次のようになる。

イラスト:
「ざっとみる」に対してはスマートフォンの一覧、パソコンの2ペインレイアウトの左の一覧ペイン。
「よくみる」に対してはスマートフォンの詳細画面、2ペインレイアウトなら右の詳細ペイン。
「並び替え」に対してはソート機能。
「絞り込む」に対してはフィルタリング機能。

現実には並び替えや絞り込みはさっとはできない。

「これと関連したものは、、」と考えることは、関連するオブジェクトとして画面に表現される。道具を使うことと考えることが一体化している。

このような頭の中にある抽象的な概念を操作できる点はコンピュータならではだろう。

ほかにも「お気に入り」「イベント」などは現実には手に掴むことはできない。

もし、これを現実に行うならば、ボードを用意して気に入ったものを貼り付ける。イベントは告知の紙をファイリングすることになるだろう。

このようなことから、現実にある物体としてのオブジェクトに加え、抽象的な概念としてのオブジェクトについても考えることになる。

オブジェクトベースにしようと思った時にぶち当たる壁は、概念の定義。例えば紙に類するオブジェクトのモデリングも捉え方で変わる。アナログの定義、デジタル化による変容、慣用的な定義を考慮しながら「それは何か」を自問自答することになる。

イラスト:オブジェクトのモデリング例
メモ、データ、ノート。スケッチブック、ToDoリスト、ボード、広大な空間。

また、アプリケーションにある表示切替とは、オブジェクトを異なる視点で捉えることに相当する。

イラスト:
人がライオンを3つの角度から眺めている
その下に視点ごとの画面例
イメージを強調した表示、テキストを強調した表示、地図表示

1つの同じオブジェクトに対する表示切替であるとした場合の注意点は、いつのまにかオブジェクトを見失ってしまうことだ。

例えば動物のマップ表示であったはずなのに、マップに植物の分布を表示してしまうと怪しくなってくる。もちろん動物を主として地図の1補足情報となっていれば成立するかもしれないが、動物と同等に表示してしまうのはやり過ぎだろう。こういった場合は動物の表示切替ではなく、もはや地図というオブジェクトとして独立させ、そこに動物や植物を表示させる方が良い。

もちろん、動物一覧ではなく動物と植物を合わせた生物一覧に変えてしまうことができるなら、生物一覧のマップ表示として整合がとれるのでそれでも良いだろう。

同じことはカレンダーでもよく起こる。何かのオブジェクトのカレンダー表示なのか、それともカレンダーというオブジェクトなのかが揺らいでくることがある。